独知
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えるとともに,行き過ぎた企業活動を抑制するという形で補完し合い,協力し合って公正な競争を実現するという関係にあります。そのため,企業としては,両者の役割を理解し,知的財産権を活用・駆使して利益の獲得を追及する一方,独禁法違反が生じないよう,常に目配りを行う必要がありますし,その最前線に立つ法務部員や知財部員は,知的財産法に加え,独禁法の知識が必須となります。もっとも,現実には,知的財産法と独禁法について,検討すべき問題点を適切に抽出・整理できているかいまいち自信が持てない,他の法律ほどは体系的な理解が進んでおらず苦手意識が拭えないとお考えになっている方々も少なくないのではないでしょうか。本書は,このような企業の法務部員・知財部員に加え,弁護士や法科大学院生などを念頭に置いて,知的財産法と独禁法が交錯する領域において生じている数々の問題点や論点について,基本的な知識,関係する公取委などのガイドラインや国内外の裁判例・審決例,そして最新の論点に関する議論の状況をできるだけ幅広く簡潔に整理・紹介した「手引書」です。最初に「基礎知識編」として両者に関する基本的な知識を記載し,その後,「応用編」として6つのパートに分け,両者に関して押さえておきたい議論を広く取り上げて解説しています(なお,2020年6月30日時点の情報をベースにしています。)。いずれもQ&A方式で解説する方式を採用し,最初から読み進めれば,全てのパートの内容を無理なく押さえられるように工夫しています。この「手引書」が皆様の知的財産法と独禁法の理解を支える土台となるとともに,より専門的な議論へとチャレンジしていく際の架橋となることを願ってやみません。最後になりましたが,本書は,日本加除出版の星野将慶氏との出会いがなければ世に出ることはありませんでした。同氏は,本書の企画からiv

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