婚継続
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キ1第1 民法₇₇0条の立法過程と趣旨1 民法₇₇0条の立法過程と趣旨第1 明治31年の民法(明治民法)の離婚原因に関する規定 明治31年6月に制定公布された民法(明治31年法律第9号,明治民法)813条は,離婚原因を以下のように規定していた。SECTION 1 「夫婦ノ一方ハ左ノ場合ニ限リ離婚ノ訴ヲ提起スルコトヲ得一 配偶者カ重婚ヲ為シタルトキ二 妻カ姦通ヲ為シタルトキ三 夫カ姦淫罪ニ因リテ刑ニ処セラレタルトキ四 配偶者カ偽造,賄賂,猥褻,窃盗,強盗,詐欺取財,受寄財物費消,贓物ニ関スル罪若クハ刑法第百七十五条,第二百六十条ニ掲ケタル罪ニ因リテ軽罪以上ノ刑ニ処セラレ又ハ其他ノ罪ニ因リテ重禁錮三年以上ノ刑ニ処セラレタルトキ五 配偶者ヨリ同居ニ堪ヘサル虐待又ハ重大ナル侮辱ヲ受ケタルト六 配偶者ヨリ悪意ヲ以テ遺棄セラレタルトキ七 配偶者ノ直系尊属ヨリ虐待又ハ重大ナル侮辱ヲ受ケタルトキ八 配偶者カ自己ノ直系尊属ニ対シテ虐待ヲ為シ又ハ之ニ重大ナル侮辱ヲ加ヘタルトキ九 配偶者ノ生死カ三年以上分明ナラサルトキ十 壻養子縁組ノ場合ニ於テ離縁アリタルトキ又ハ養子カ家女ト婚姻ヲ為シタル場合ニ於テ離縁若クハ縁組ノ取消アリタルトキ」 これは有責的な離婚原因を制限的に列挙したものであり,相対的な離婚原因の規定はなかった。第1 民法770条の立法過程と趣旨第1章民法770条1項5号の離婚原因

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