第2章 有責配偶者の離婚請求38から,財産分与ないし慰謝料の支払が認容されてもその実効性に疑問があるとして特段の事情を認定したのに対し,最高裁は,このような経済的・精神的不利益は,離婚に必然的に伴う範囲を著しく超えるものではなく,特段の事情に当たらないと判示している。2 面会交流の非寛容 次に,原告が子との面会交流を認めないという事情も,有責配偶者の離婚請求の許否にあたりどのように考慮するかも問題である。 判例の事案は,原告が不貞行為をした夫で,子は被告である妻が監護養育している場合が圧倒的に多いので,この問題は生じない。 しかし,原告が有責配偶者の妻で,妻が子の監護養育をしている場合には,原告が被告である夫と子との面会交流を認めないことが考えられる。この場合に,原告の面会交流の非寛容の事実を,被告が離婚により精神的に極めて苛酷な状態に置かれる特段の事情として考慮するかどうかも問題である。
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