婚継続
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第1 離婚慰謝料の法的性質1 離婚慰謝料の法的性質第1 離婚原因慰謝料と離婚自体慰謝料 一般に離婚慰謝料には,①離婚原因慰謝料と②離婚自体慰謝料があると言われている。 このうち,①離婚原因慰謝料とは,暴行や虐待等の離婚の原因となった個別の有責行為によって被った精神的苦痛に対する慰謝料をいい,②離婚自体慰謝料とは,離婚という結果そのものから生ずる精神的苦痛に対する慰謝料をいうとされている。SECTION 4による慰謝料である。 夫婦間であっても,身体・自由・名誉のような一般的法益を侵害する行為については第三者間と同様に,暴行や虐待等の不法行為によって慰謝料が生ずることは争いがない。 [裁判例56]の一審,控訴審の判決(神戸地裁平成11年9月8日判決,大阪高裁平成12年3月8日判決)は,離婚慰謝料とは別に,婚姻中の夫の暴行による入通院慰謝料,後遺障害慰謝料,後遺障害による逸失利益を認めている。⑵ しかし,夫婦間の同居協力義務(貞操義務を含む),婚姻費用分担義務等の婚姻に伴う義務に違反した場合に,どの範囲で不法行為が成立すると解するかについては,説が分かれている。 上野雅和は,婚姻義務違反については家事審判法(当時)による独自の救済手段が設けられていることや,義務の性格上その履行は自発的履47第1 離婚慰謝料の法的性質第4章2 離婚原因慰謝料の内容⑴ 上記のとおり,離婚原因慰謝料は,離婚原因となった個別の有責行為離婚慰謝料

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