事案判旨631 民法770条1項5号の意味【控訴審】 大阪高裁昭和32年10月31日判決【上告審】 最高裁昭和33年12月25日判決(昭和33年オ144号)(家月11巻キーポイント 民法770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」とは,夫婦の一方の責に帰すべき事由であることを要しないと判示した最高裁判決として意義がある。3号105頁) Y(妻:被告,控訴人,上告人)は,昭和25年2月に3人の子を連れて実家に帰った。 X(夫:原告,被控訴人,被上告人)は,離婚調停の申立てをなし,同調停で,長男が就職したら,協議離婚する旨の調停が成立した。 Yは協議離婚に応じなかったので,Xは本件離婚訴訟を提起した。1 一審は,Xの請求を認容した。2 控訴審も,Yの控訴を棄却した。3 上告審は,以下のように述べて,Yの上告を棄却した。 「民法770条5号にいわゆる『その他婚姻を継続し難い重大な事由』とは,同条1,2号のように必ずしも夫婦の一方の責に帰すべき事由であることを要しない。従つて,夫婦いずれの責にも帰すべからざる場合,又は,夫婦双方の責に帰すべき場合もまたこれに包含されること勿論であつて,原判決には所論の違法は認められない。それ故,論旨は採るを得ない。」裁判例1
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