婚継続
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キーポイント1 別居後8年を経過している夫婦について,夫さえやり直す気持ちになって妻と長女の許に戻ってくれば円満な夫婦生活は可能であるとして,婚姻関係は,いまだ完全には破綻していないとして,夫からの離婚請求を棄却した高裁判決である。65裁判例2家庭を築きたいと念じつつ,折にふれて父親を求める長女とともにXの帰りを待つていることは前述したとおりであり,Xさえ真剣にやり直す気持になつてYと長女の許に戻つてくれば,かつてのようにYが仕事に追われて精神的余裕を失い,生活に潤いがないということはなくなり,長女を囲んでの円満な夫婦,親子の共同生活が可能になるものと思われ,Xに対してそれを期待することは,決して不可能を強いるものとは思われない。 以上によれば,XとYの婚姻関係は,客観的にはいまだ完全には破綻していないものといわなければならない。すなわち,民法770条1項5号所定の『婚姻を継続し難い重大な事由』があるとのXの主張は採用しえない。」2 同居期間2年強,別居期間8年で,夫からの離婚請求を棄却した判決は,まれであると思われるが,高裁は,別居後に生まれた長女の存在を強く考慮していると思われる。

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