婚継続
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事案判旨9315 有責配偶者の夫の離婚請求を棄却した事案【一 審】 横浜地裁昭和25年11月7日判決(昭和23年タ18号)(民集8キーポイント 本最高裁判決は,有責配偶者の離婚請求を認めないとの判例の立場を明確にした判決である。巻12号2147頁)【控訴審】 東京高裁昭和27年1月31日判決(民集8巻12号2149頁)【上告審】 最高裁昭和29年12月14日判決(昭和27年オ196号)(民集8巻12号2143頁) X(夫:原告,控訴人,上告人)とY(妻:被告,被控訴人,被上告人)は,昭和3年11月に結婚し,昭和4年4月に婚姻の届出をした。昭和5年3月に長男が生まれた。 Xは,昭和9年12月,家を出て,Aと同棲している。 Xは,Yに対し本件離婚訴訟を提起した。1 一審は,Xの請求を棄却した。2 控訴審も,一審を維持して,Xの控訴を棄却した。3 上告審は,以下のとおり述べて,Xの上告を棄却した。 「原審の認定した処によるとXは何等相当の事情もないに拘らず,他に情婦を持ち妻たるYを遺棄して情婦と同棲し,これにより夫婦生活の破綻を生じたのであつて,右破綻は一つにXの右背徳行為に基因するものである。民法第770条1項第5号は相手方の有責行為を必要とするものではないけれども,何人も自己の背徳行為により勝手に夫婦生活破綻の原因をつくりながらそれのみを理由として相手方がなお夫婦関係の継続を望むに拘わらず右法条により離婚を強制するが如きことは吾人の道徳観念の到底許さない処であつて,かかる請求を許容することは法の認めない処と解せざるを得ない。」裁判例15

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