事案判旨16548 離婚における慰謝料請求権の性質【一 審】 福島地裁会津若松支部判決(民集10巻2号132頁)【控訴審】 仙台高裁昭和26年6月11日判決(民集10巻2号135頁)【上告審】 最高裁昭和31年2月21日判決(昭和26年オ469号)(民集10巻2号124頁) X(夫:原告,被控訴人,上告人)とY(妻:被告,控訴人,被上告人)は,昭和18年4月に事実上の婚姻をして同棲し,昭和19年3月に婚姻届出をした。Xは,昭和19年6月に応召したが,Xの応召中もYは,Xの母Aと共に田畑の耕作をした。Yは,農耕による過労のため健康を害し,農耕を休むようになったため,Aから冷淡な態度をとられた。Xは,昭和23年6月に復員したが,Aは,Yを非難し,XもAの言動に追随したため,Yは,昭和24年2月に婚家を去った。その後,昭和24年9月に女児が生まれた。 Xは,Yに対して,離婚請求訴訟を提起し,Yは,Xに対して離婚と慰謝料請求の反訴を提起した。1 一審は,XとYの離婚を認容したが,YのXに対する慰謝料請求は棄却した。2 控訴審は,XとYの夫婦関係が破綻した発端はAのYに対する思いやりのない態度にあり,Xは,Aを諌めその啓蒙に十分の努力を払わなかったとして,Xに対して7万円の慰謝料の支払を命じた。3 Xは,上告理由として,現行民法においては離婚の場合に離婚をした者の一方は,相手方に対して財産分与の請求ができるから,離婚につき相手方に責任があるの故をもって,直ちに慰謝料の請求をなし得るものではなく,その離婚原因となった相手方の行為が,特に身体,自由,名誉等の法益に対する重大な侵害であり,不法行為が成立する場合に,損害賠償の請求をなし得るにすぎないと主張した。 最高裁は,この上告理由に対して,以下のように述べて,Xの上告を棄却し,控訴審判決を維持した。裁判例48
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