婚継続
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事案判旨16749 財産分与後の慰謝料請求【一 審】 福岡地裁直方支部昭和41年12月18日判決(昭和40年ワ69号)(民集25巻5号814頁)【控訴審】 福岡高裁昭和42年11月7日判決(昭和41年ネ859号)(民集25巻5号821頁)【上告審】 最高裁昭和46年7月23日判決(昭和43年オ142号)(民集25巻5号805頁) X(妻:原告,被控訴人,被上告人)とY(夫:被告,控訴人,上告人)は,昭和35年6月に婚姻した。Yは,婚姻の際,前妻との間の男子を連れ子とし,XY間にも長女が生まれた。 Xは,Y及びYの母からの暴力,虐待を受け,長女を連れて家を出ることをYの母に阻止されたので,昭和37年8月に単身実家に帰った。 Xは,Yに対して離婚訴訟を提起し,昭和40年2月に,離婚及び長女の親権者をYと定め,YからXに整理タンス1棹,水屋1個の財産分与を命じる判決が下された。 Xは,昭和40年9月に,Yに対し離婚による慰謝料30万円の支払いを求める本件訴訟を提起した。1 一審は,Yに対し15万円の慰謝料の支払を命じた。2 控訴審も一審判決を維持した。3 最高裁も,以下のように述べて,控訴審判決を維持した。 「本件慰藉料請求は,YとXとの間の婚姻関係の破綻を生ずる原因となつたYの虐待等,Yの身体,自由,名誉等を侵害する個別違法行為を理由とするものではなく,Xにおいて,Yの有責行為により離婚をやむなくされ精神的苦痛を被つたことを理由としてその損害の賠償を求めるものと解されるところ,このような損害は,離婚が成立してはじめて評価されるものであるから,個別の違法行為がありまたは婚姻関係が客観的に破綻したとしても,離婚の成否がいまだ確定しない間であるのに右の損害を知りえ裁判例49

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