婚継続
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事案判旨19763 配偶者の不貞相手に対する不貞慰謝料請求【一 審】 東京地裁昭和49年6月28日判決(昭和46年ワ931号)(民集33巻2号318頁)【控訴審】 東京高裁昭和50年12月22日判決(昭和49年ネ1657号)(民集33巻2号324頁・判時810号38頁)【上告審】 最高裁昭和54年3月30日判決(昭和51年オ328号)(民集33巻2号303頁・判時922号3頁) X1(妻:原告,被控訴人,上告人)とA(夫)は,昭和22年7月に事実上の結婚をし,昭和23年7月に婚姻届出をした。昭和23年8月に長女X2が,昭和33年9月に次女X3が,昭和39年4月に三女X4がそれぞれ生まれた。 Y(被告,被控訴人,上告人)は,銀座のアルバイトサロンでホステスをしていたが,昭和32年2月ころ,客として来店したAと親しくなり,数か月後に情交関係をもった。Yは,昭和35年11月にAとの間に女児Bを出産し,自分で育てていた。Aは昭和39年4月にBを認知した。 X1は,昭和39年2月頃に,AとYとの関係やAとYの間にBが生まれていることを知り,Aをきびしく非難した。Aは,X1の非難に嫌悪して,昭和39年6月に家を出て,昭和42年からはYと同棲している。 不法行為に基づき,Yに対して,X1は500万円,X2は200万円,X3とX4それぞれ100万円の慰謝料請求の本件訴訟を提起した。1 一審は,X1に300万円,X2に30万円,X3及びX4に各50万円の慰謝料を認容した。2 控訴審は,以下のように述べて,Xらの請求を棄却した。 「AとYとは,Aのさそいかけから自然の愛情によつて情交関係が生じたものであり,Yが子供を生んだのは母親として当然のことであつて,Aに妻子があるとの一事でこれらのことが違法であるとみることは相当ではなく,また,AとX1との婚姻生活は,X1がAとYとの関係を知り,Aが別居した昭和39年6月に破綻するに至つたものと認めるのが相当である。裁判例63

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