第1章 広告表示規制総論Q 13れに関する法律の多くは消費者庁の所管とされている。このような行政的規制は消費者保護あるいは公益的見地からの規制であるため,これに違反した者の故意・過失を問わないのが原則である。 ②の行政的規制の具体的方法としては,例えば,景品表示法においては,不当表示等是正のための措置命令を行い,及び不当表示に対して課徴金納付命令を行う。特定商取引法等の法律においては,指示,業務停止等を命ずる。 また,不当表示等に対する民事的規制としては,各法律に基づき当該行為の差止め命令を行うことができる場合があり,また,民事上の不法行為(民709条)として損害賠償請求を行うことができる。これは,民事上の手続として,事業者が当該事業者に対して,あるいは一般消費者が当該事業者に対して損害賠償請求を行うものである。損害賠償請求権の消滅時効は,一般的には,債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間,権利を行使することができる時から10年間であり(民166条1項),不法行為のときは,損害及び加害者を知った時から3年間,不法行為の時から20年間である(民724条)。 さらに,法律によっては,不当広告表示に対し罰金刑に関する規定がある場合がある。 一方,業界によっては,自主規制が行われている。法令に基づくものとしては,景品表示法31条に基づく協定又は規約(公正な競争を確保するための協定又は規約。「公正競争規約」)がある。公正競争規約は,内閣総理大臣及び公正取引委員会の認定を受けて,景品類又は表示に関する事項について,協定等を設定し,事業者の団体である公正取引協議会が運用するものである。同協議会は,加入する事業者に違反行為があった場合は,警告,違約金を課す等の措置をとることができることにしている。公正競争規約において定められている表示基準等は,当該業界における正常な商慣行として,景品表示法の解釈基準として参酌されている。 また,事業者の任意的自主規制団体として,いくつかのものがある。(公社)日本広告審査機構(JARO)は,広告主や広告媒体による団体であるが,会員事業者に対する広告に関する苦情や誇大広告などの指摘があった場合に
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