おわりに 191今春,世界的な新型コロナウイルス感染拡大により,仕事の優先順位の検討や,業務の見直しの必要性に迫られたのではないでしょうか。障害者雇用に取り組む企業等においては,多様な障害特性のある人材を組織で活かしていくために,仕事の洗い出しを幅広い部門で実施し,パフォーマンスをあげ,多様な人材とともに働くインクルーシブな職場を実現している企業が増えました。具体的な方法は以下のとおりです。①職場の各人が自分の仕事を上司から要請されている基幹業務と周辺業務に分けます。②優先順位を上司と面談の上,決めていきます。③より優先度の高い基幹業務にできるだけ専念できるように周辺業務は適材適所の視点で見直します。そして,新たに基幹業務の一部や周辺業務を担う後輩,新入社員,外部委託,派遣社員,パート社員が新たな仕事に挑戦していく。精神障害のある労働者の中には,システム開発やプログラミングで優れた能力を発揮されている方がいます。また幅広い仕事に適性があるので,これから仕事の幅がさらに広がると考えています。精神障害のある方は,体調の波によって長時間連続して勤務することが難しい,集中力が続かない,といった特性があると指摘されています。しかし「新たな生活様式」での働き方として,オフィスで短時間働く,サテライトオフィスや自宅でフルタイムはもちろん,午前中だけ働く,午後から働く,6時間働く,週3日働く,など働く場所と勤務日,勤務時間が柔軟な働き方が当たり前となれば,戦力として先のような方法で洗い出された業務で貢献できる障害のある労働者は少なくありません。多様性のあるインクルーシブな職場こそ令和時代の新たな職場の姿かもしれません。本書をまとめるにあたり多くの執筆者の方々にご協力をいただきました。さらに,各章幹事の先生方には,事例の調整,執筆者とのコミュニケーション,原稿の執筆及び推敲など,多大なお力添えをいただきました。そして,日本加除出版の小室裕太郎氏,岩満梨紗氏は丁寧に原稿を読み込んで,刊行までの道のりを支えてくださいました。厚く御礼を申し上げます。2020年7月新型コロナウイルス感染拡大で誰もが新しい働き方を模索しているこの時に編著者 眞保 智子おわりに
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