4 第1章 孤独死の遺族に生じがちな相続、遺産分割に関する問題 子であればよく、男女の別、戸籍を同一とするか、実子・養子の別、嫡出子か嫡出でない子かなどは、相続人となるかどうかに影響はありません。 自分の戸籍に入っていないのだから相続人にはならないと勘違いする方もいるのですが、離婚した前の配偶者との子で、子が前の配偶者の戸籍に入っているときでもその子は法定相続人になります。戸籍が一緒かは、相続とは無関係です。 他方、再婚した相手の連れ子は、法律上は子ではありません。長期間一緒に住んでいたとしても法定相続人にはなりません。再婚相手の連れ子と養子縁組をしていた場合は、養子として法定相続人になります。 孤独死をするような人だと子がいないのではないかと思われるかもしれませんが、実はいたというケースもあります。比較的多いのは、若い頃に結婚してすぐに離婚しており、子がいるが何十年と会っていないし、連絡先も知らないというケースです。周りの人も誰も故人に子がいたことを知らず、戸籍調査で初めて判明したということもあります。 相続人になるかどうかには戸籍が同一か実際に交流があるかは関係がありませんので、仮に一度も会ったことがなくても、子は相続人になります。4 第2順位の相続人は親 第2順位の相続人は、直系尊属となります(民法889条1項1号)。 直系尊属が相続人になるのは第1順位の相続人である子及びその代襲相続人(孫など)がいない場合(相続放棄や欠格の場合を含みます。)です。 まれに、「(被相続人の)親なのだから自分も相続できるはずだ」という相談者もいますが、親に相続権が認められるのは、被相続人に子(直系卑属)がいない場合だけです。 直系尊属の中では親等が近い者が優先になります(民法889条1項、889条1項1号ただし書)。父母のどちらかがいる場合には祖父母は相続人となりません。 親であれば実親か養親かの区別はありませんが、直系尊属は親族に限られるので、姻族、俗にいう義理の父母は含みません。 直系尊属に代襲相続はないので、両親のうち父が死亡していれば、母
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