孤独死が起きた時に、孤独死に備える時に Q&A 孤独死をめぐる法律と実務
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114  第2章 孤独死をめぐる諸問題 賃貸人や管理会社が住居の鍵を開けてくれ、住居内を確認し、遺体があれば警察に通報します。住居内への立入りは、後々のトラブルを防ぐため複数人で入ることがよいでしょう。 万が一、遺体を発見してしまった際は、決して遺体に触れないようにしてください。事件性がある場合、遺体の状況を変化させると捜査に支障がありますし、正当な理由がなく死体の現場を変えると、遺体を損壊していなくても軽犯罪法1条19号に違反する可能性があります。 警察が来るまでは、現状を変えないということが重要です。4 賃貸人、管理会社の場合 貸しているまたは管理している物件に高齢者が居住している場合、親戚や友人から孤独死が疑われるから鍵を開けてほしいという連絡がくる可能性があります。 その場合も警察や役所に連絡をし、警察などの要請で鍵を開けるという形にした方が無難です。 というのも、孤独死が疑われるから居室の鍵を開けてほしいという連絡をしてくるのは、居住者を心配している友人とは限りません。例えばですが、入居者が債務を抱えており債権者からの連絡を断っていたところ、債権者が債務者に連絡を取るために、管理人などに「孤独死が疑われる」などと申し入れて鍵を開けるよう要請してくるというケースも実際にはあります。 また、そのような場合に限らず、入居者が存命でただ外出中だったような場合、鍵を開けたことや中にあった物がなくなったというクレームをつけられたりして、トラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。 他方で、債権者の申出により居室に立ち入ったところ、居室内で自殺をしているのを発見したという例も実際にあります。 債権者の申出だからといって、一概に無視してしまうというのも孤独死の発見の遅れにつながる可能性もあります。 そのため、そのような申出があり、実際に孤独死の可能性があるのであれば、警察や役所などに通報をした方がよいでしょう。 もし、警察や役所が対応してくれない場合、連絡をしてきた友人だけではなく、親族や連帯保証人の連絡にするなどし居室立入りの同意を取

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