iiiるようです(全国社会福祉協議会・全国民生委員児童委員会協議会編『孤独死老人追跡調査報告書』(全国社会福祉協議会・全国民生委員児童委員会協議会、1974))。ただ、一般に認知されるようになったきっかけは、平成7年の阪神・淡路大震災後、仮設住宅で暮らす独居老人が多数亡くなっていることを指す言葉として使用されて以降かと思います。 孤独死という言葉の使われ方は様々ですが、辞書では「看取る人もなく一人きりで死ぬこと」とされています(広辞苑〈第6版〉(岩波書店、2008)。 行政では、現在、孤独死という言葉はあまり使われておらず、「孤立死」と表現されることが多いです。「孤立死」については、誰にも看取られることなく息を引き取り、その後、相当期間放置されるような悲惨な死としています(内閣府「平成22年度版高齢社会白書」57頁)。 「平成19年版高齢社会白書」において厚生労働省の取組である「孤立死防止対策の創設」の記載がなされ、また平成18年8月には「高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議(「孤立死」ゼロを目指して)」が設けられました。平成20年3月に同会議の報告書が発表され、「孤立死」を社会問題として捉え、防止することの必要性が説かれました。 そして、平成22年版以降、高齢社会白書では「孤立死の増加」という項目が設けられ、孤立死に関する統計が公表されています。 もっとも、行政は孤立死については、「死後○○日経過後に発見された」などという明確な定義づけはしていません。そのため、孤立死が何件発生しているかなどという全国的な統計資料は存在しません。 なお、高齢社会白書では、東京都監察医務院が公表している東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数をもって、孤立死と考えられる事例の統計資料としています。 同統計によると、東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数は平成14年に1364人であったのに対し、平成30年には3936人(過去最高)となっており、ここ17年で約2.9倍に増えていることになります。 この死亡者数が全て孤立死というわけではないという点には注意が必要ですが、いわゆる孤立死の多くはこの人数に含まれると考えられます。
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