v流行語大賞でトップテンに選出されました。 それまで高齢者にとって死は避けるべき話題でしたが、残された人に迷惑をかけたくない、自分らしいエンディングを迎えたいという思いから、「終活」という言葉が市民権を得て、「エンディングノート」を作成するなど死の準備をする人が増えてきています。 私は、平成19年に弁護士になりました。弁護士になった当初、高齢者の生前意思をどのように実現するかという問題意識を持っており、自分らしいエンディングを実現するための死後事務委任契約を啓蒙するような活動をしていました(「死後事務委任契約を利用した新生前契約システム」月刊フューネラルビジネス2008年8月号260頁)。 その頃、日本初の遺品整理専門会社であるキーパーズの吉田太一さんと知り合いになったことをきっかけとして、独居の高齢者が漠然とした不安の中で生活しているということを知りました。 吉田太一さんは、遺品整理会社の代表として孤独死した居室の特殊清掃など孤独死現場の最前線で働いており、その著書『孤立死 あなたは大丈夫ですか?』(扶桑社,2014)の冒頭に掲載されている漫画は、孤立死に至る経緯、孤立死した後の出来事を分かりやすく書いてあります。 平成20年当時、吉田さんのもとには全国の独居高齢者から自分が死んだ後のことに関する相談がきていました。その中には弁護士に相談をしたいという方もおり、弁護士として駆け出しだった私は、吉田さんと一緒に一人暮らしの高齢者のお宅に伺い無料で相談に乗るという活動を始めました。 最初は弁護士に相談を希望しているのだから遺言などの相談がされるのではないかと考えていたのですが、一人暮らしの高齢者の方たちが真っ先に相談してくるのは、自分が死んだら後(遺体やお骨)はどうなってしまうのか、誰が死体を発見してくれるのだろうかということでした。 前向きに自分らしいエンディングを迎えたい人が多いだろうと考えていた私にとって、そのような相談をされるということはとても衝撃的でした。 不安を抱えていては自分らしいエンディングをどうしようかという気持ちになれるはずがありません。まずは抱えている不安を取り除く必要
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