善管
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23第1節 総 論第1章 委任契約第1章第1節 総 論/Q2 委任契約に基づく善管注意義務の内容・程度はどのように解されているか。当該取引における具体的な「委任の本旨」から決定される。解 説1 委任契約に基づく善管注意義務 民法644条には,「受任者は,委任の本旨に従い,善良な管理者の注意を 民法644条には,「受任者は,委任の本旨に従い,善良な管理者の注意をもって,委任事務を処理する義務を負う。」と定められている。 要するに,受任者は,「委任の本旨」(「債務の本旨」と同義である)に従って委任事務を処理する義務を負っているが,その際には,「善良な管理者の注意」をもって行わなければならないということである。 そして,「善良な管理者の注意」とは何かといえば,やはり「委任の本旨」から導かれることになるから,当該委任契約の内容,目的,性質等が重要な判断基準ということになる。 「善良な管理者の注意」の抽象的な定義は,当該事務を行う際に一般的平均人に要求される程度の注意ということになろうが,具体的に要求される行為基準としてどのようなものが要求されるのかについては,当該取引における具体的な「委任の本旨」から決定されることになる。 委任契約は原則無償であるが,信頼関係を前提とする契約であるため,無償であっても「善良な管理者の注意」という高度な義務が要求されると説明される(Q3もご参照頂きたい)。このことは,民法659条が「無報酬の受寄者は,自己の財産に対するのと同一の注意をもって,寄託物を保管する義務を負委任契約等に基づく善管注意義務

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