第1章 委任契約5第1節 総 論/Q32 裁判例 東京地判平10・7・28(判時1665号84頁)は,社会福祉協議会から派遣され 東京地判平10・7・28たボランティアと身体障害者との間の準委任契約を否定した上ではあるが,「ボランティアとしてであれ,障害者の歩行介護を引き受けた以上,右介護を行うに当たっては,善良な管理者としての注意義務を尽くさなければならず(民法644条),ボランティアが無償の奉仕活動であるからといって,その故に直ちに責任が軽減されることはないというべきであるが,もとより,素人であるボランティアに対して医療専門家のような介護を期待することはできないこともいうまでもない。例えていうならば,歩行介護を行うボランティアには,障害者の身を案ずる身内の人間が行う程度の誠実さをもって通常人であれば尽くすべき注意義務を尽くすことが要求されているというべきである。」として,医療専門家と同程度の注意義務を求めなかった(結論として責任も否定した)。 当該裁判例は,無償であることを理由に注意の程度を軽減しておらず,専門家ではないことを理由に注意の程度を判断していることが特徴的である。
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