3 システム開発契約における善管注意義務に関する裁判例⑴ 東京地八王子支判平15・11・5(判時1857号73頁)⑴ 東京地八王子支判平15・11・5第3章 システム開発・運用等193 システム開発契約の性質上,ユーザーの業務内容やシステム化に向けた課題はベンダーには分からない。 そのため,システム化に向けた打ち合わせにおいては,ユーザーが主導的にならざるを得ないことから,善管注意義務違反を否定したものと考えられる。⑵ 東京地判令3・3・30(平30ワ33005号)第1節 システム開発/Q57 具体的には,外部設計書作成支援業務で出来上がった設計書に不備があった場合,ベンダーが受任者の善管注意義務を果たしていなかったといえるときは,ベンダーは善管注意義務に基づき,不完全であった債務の履行を完全な履行とするためにユーザーにおける設計書の修正に必要な調査,分析,整理,提案及び助言などの支援を行うことになる場合があるとされている。 責任を否定した。 請負契約に基づく主張ではあるが,「専門家たる請負人は,一般に,システム設計前にユーザーたる注文者から十分な情報収集及び調査(ヒアリング)をする」ことや「請負契約全般について,営業と技術の専門知識を有する責任者を置くのが通常である」ことについて,「専門家責任としての善管注意義務の内容に含まれるというべきである。」とした上で,システム設計前に従業員らから十分なヒアリングをすべき義務があったと主張した。 「たとえ被告がコンピューターシステムの専門家であるとしても,システムを構築する前提としての原告の業務の実態が正確に被告に伝達されなければ,被告において,原告の業務に適合するシステムを構築することは困難である」と判示した上で,ヒアリングが不正確であったものの,ベンダーの責任とすることは相当ではないと判示した。 責任を否定した。結 論事案の概要判 示結 論
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