善管
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1 医師の善管注意義務⑴ 医師との契約⑴ 医師との契約第1節 医療従事者の善管注意義務第5章 専門家第5章247⑵ 医師の善管注意義務の基準⑶ 新規治療における医療水準第1節 医療従事者の善管注意義務/Q70 医師らとの契約は準委任契約であるから,民法656条及び644条に基づき善管注意義務を負う。 東大輸血梅毒事件(最一小判昭36・2・16民集15巻2号244頁)は,「いやしくも人の生命及び健康を管理すべき業務(医業)に従事する者は,その業務の性質に照し,危険防止のために実験上必要とされる最善の注意義務を要求されるのは,已むを得ないところといわざるを得ない。」としており,未熟児網膜症事件(最三小判昭57・3・30民集67巻4号1049頁)は「注意義務の基準となるべきものは,診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準である」と判示している。当該医療水準は,規範としての医療水準であり,実務慣行になっていれば許されるという意味ではない(最三小判平8・1・23民集50巻1号1頁)。 新規治療について,医療機関に要求される医療水準とはどのようなものか。 どのような場合に,医師らに対して善管注意義務違反に基づく請求をすることができるか。専門家である医師らの診療当時の医療水準を下回る場合,善管注意義務違反に基づき請求し得る。解 説70専門家に関する善管注意義務

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