善管

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はしがきiiに「これが善管注意義務ですよ。」と言うことができれば分かりやすいのですが，そうではないのが「善管注意義務」の奥の深いところです。　そのため，裁判例については，敢えて要約せず，なるべく判決文を多く引用し，どのような事案でどのような理由に基づいて判示しているのかが具体的に分かるようにしてあります。裁判例の引用や法律の解説にあたっては，法務担当者の方が業種ごとに注意すべき点を認識しやすくなるように注意しました。本書が，法務担当者の方にとって，日頃の業務に潜むリスクを発見・回避して紛争を予防することや，万が一紛争になった場合でも適切な対応を行うことができる一助となることを祈っております。　「善管注意義務」は，あらゆる業務に日常的に関わってくる法律概念ですので，特に「善管注意義務」が問題となったときに本書を見返していただくだけではなく，いまだ「善管注意義務」が問題になっていないタイミングでも，本書を横に置きながら業務を行っていただけますと幸甚です。　最後に，日本加除出版株式会社の佐伯寧紀氏，増田淳子氏がいらっしゃらなければ，本書のように類書のない分野に関して，読みやすく整理された書籍にはならなかったと感じています。お二人の高い能力と日頃の努力に多大なる感謝を申し上げます。　　　　2023年１月岡本　直也