民抗
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〔9〕12 第1編 民事訴訟法上の抗告裁判に対する不服申立てであり,控訴に近い機能を有する上訴である。控訴審は,完全な第2の事実審の構造を有し,そこでは,当事者は新たな事実(第一審手続後に生じた事実のみならず,第一審手続当時存在していたが第一審で主張されていなかった事実を含む)の主張および証拠申出をすることができる。同様に,抗告審では,控訴審におけると同様,裁判所による法律問題と事実問題の審査が行われ,また,新たな事実の提出と証拠申出が許される(→〔101〕)。 終局判決の前になされた中間的裁判,とりわけ中間判決は,終局判決に対して上訴の提起があると,これに伴い上訴裁判所の判断を受けるが,このような形で上訴裁判所の裁判を受ける機会のない裁判(例:訴状却下命令〔民訴137条2項〕,証人義務の違反による過料の制裁の裁判〔同192条1項・200条・201条5項〕,当事者尋問において虚偽の陳述をした当事者に対する過料の決定〔同209条2項〕など)や,本案との関係が強くない裁判または迅速な決着がとくに合理的と考えられる裁判(例:移送の決定および移送申立てを却下した決定〔同21条〕,除斥または忌避の申立てを理由なしとする決定〔同25条5項〕;文書提出命令の申立てについての決定〔223条7項〕等)に対しては,独立して不服申立てを許すことによって争いの迅速な決着を図ることが適切であるとの考慮に基づき,民訴法は抗告制度を設けた。9)さらに,抗告は,訴訟費用の裁判に対する不服申立てや訴訟に関係する第三者に関わる裁判(たとえば,証人に対する過料の制裁の裁判;文書提出命令に従わない第三者に対する過料の制裁〔同225条1項〕)に対する不服申立てのためにも許されている。 抗告は,独立の上訴であり,上訴の一般原則に服する。抗告の手続を規律する独自の規定は,民訴法において殆ど定められておらず,いわば継子扱いされており,文献における研究も従来不十分である。判例も多くない。10)その後,一部において抗告についても精力的に研究が進められたが,11)課題9)鈴木正裕「抗告の特質」講座民事訴訟⑺291頁以下;新堂〔第6版〕960頁;三木浩一/山本和彦編・民事訴訟法の改正課題(2012年・ジュリスト増刊)154頁;条解民訴〔第2版〕1666頁[松浦/加藤];菊井/村松・新コンメⅥ409頁;(新)注釈民訴⑸398頁[青木]。10)この点の指摘として,古崎慶長「抗告審に関する諸問題」実務民訴講座⑵347頁。11)鈴木正裕「決定・命令に対する不服申立て⑴~⑷」曹時36巻7号1243頁以下,8号1453頁以下,10号1817頁以下.11号2093頁以下(いずれも1984年);同・前掲注9)291頁以下;同「訴訟内の訴え提起の要件と審理」新堂幸司編著・特別講義 民事訴訟法(1988年・有斐閣)

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