民抗
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〔14〕〔15〕第1章 総 説 1722) Vgl. Braun, Verletzung des Rechts auf Gehör und Urteilskorrektur im Zivilprozess, NJW 1981, 425(426).第2款 抗告できない裁判と法的審問請求権の保障 だが,ドイツ民訴法による抗告制度の導入で,決定や命令に対する不服申立ての問題が終わらなかったことに注意する必要がある。ドイツ民訴法は,そもそも抗告のできない決定・命令を個別に規定した。これによって,1877年のドイツ民訴法の制定前に各地の地方訴訟法(partikulare Prozess-ordnungen)において救済が与えられていた事項,とくに裁判官による手続開始や続行の不当な拒否が,新たに導入された抗告においては救済を求めることができないという事態が生じた。すなわち,1877年のドイツ民訴法制定以前には,各地の地方訴訟法において,法的審問請求権の侵害が上訴(Appellation)の方法で主張できなかった限りで,これにより不利益を受けた当事者は無効の訴え(Nichtigkeitsklage)または無効抗告(Nichtig-keitsbeschwerde)を提起することができるという規律がかなり広く採用されていたが,22)この救済が抗告の対象となる決定・命令の制限により排除されるという事態が生じた。 たとえば,1847年のハノーファー王国一般民事訴訟法248条11号は,無効抗告の理由の1つとして法的審問の拒絶および剥奪を次のように規定していた。すなわち, 「無効抗告は,当事者が無条件でそれを実施する権利を有し,その許可が裁判官の裁量に委ねられていない裁判上の行為をすることを妨げられ,しかも, a 裁判官が当事者の明示の要求に対し許可を拒絶し,しかし先行した許可なしに本案につきその当事者の不利に裁判する場合(法的審問の拒絶) b それに対し,裁判官が裁判上の行為の許可を求める当事者の先行した明示の申立てなしに,法律上当事者に帰属する裁判上の行為をする機会なく,その当事者の不利に裁判する場合(法的審問の剥奪),審問を受けなかった当事者には即時に無効抗告が帰属するのではなく,むしろ14日の不変期間内に下級裁判所に,4週間の期間内に上級裁判所に,問題の行為を行い,その行為の許可と出された処分の除去を申し立てることができる。持ち込まれた行為が形式的に適法と認められ,その内容を考慮して,出さ

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