民抗
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〔16〕18 第1編 民事訴訟法上の抗告23)Braun, a.a.O.(Fn.22), 426.24)Vgl. Kutsch, Das Institut der außerordentlichen Beschwerde nach dem Zivilprozessre-formgesetz, 2004, S.6.れた処分が繰り返されまたは変更される場合,無効の原因は除去され(gehoben),この─因みに上訴の審級において出される裁判と見なされるのでない─決定に対しては,それ自体適法なすべての上訴が許される。これに対し,提出された行為がその内容に立ち入ることなく裁判所により形式的に不適法として却下される場合,これに対して無効抗告が許され,上級裁判官はその行為の形式的適法性について裁判しなければならない。 裁判所が当事者の先行的審問なしに裁判をした場合,裁判所はこれに向けてなされた審問を受けなかった当事者の行為につき裁判する処分において,行為の却下が形式的理由によって行われるのか,実体的理由によるのかについて明示的に述べなければならない。この言及を欠くときは,疑わしい場合には,行為は形式的に不適法として却下されたものと推定されるべきである。したがって無効抗告が許される」。 1877年のドイツ民訴法前の地方訴訟法において,法的審問請求権の侵害という無効事由は,実体規定の違反と重ならず,裁判所は実体法または証拠の問題を正しく判断しなかった場合にすでに法的審問請求権の侵害が認められるというものではなく,審問請求権の法的に不適切な解釈によるのであれ,当事者の適法に提出した攻撃防御方法の無視によるのであれ,当事者の手続法上の地位が不法に縮減された場合に認められるものであった。23)ところが,1877年の民訴法による抗告制度の採用によって,法律が抗告をすることができないと定めている裁判について,無効の訴えまたは無効抗告の方法により原裁判所の法的審問請求権の侵害を主張する可能性が失われることとなった。24)また,裁判所による司法拒絶のような重大な違法があっても,民訴法が不服申立てを許さないとした決定・命令に対しては,民訴法が採用した抗告制度によってはこれを主張し,救済を求めることができなくなるという新たな重大な問題が生じた。

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