民抗
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〔19〕20 第1編 民事訴訟法上の抗告25)OLG Köln NJW-RR 1987, 1087; OLG Zweibrücken FamRZ 1983, 621; OLG München NJW 1974, 1514.26)鈴木・前掲注11)の諸論文も,ドイツ法の抗告制度の問題点と制度導入後の展開については触れていない。27)BGHZ 130, 97 = NJW 1995, 2497; BGH NJW 1998, 459(460); BGH NJW 1978, 1585; BGHZ 43, 12(19 f.)= NJW 1965, 495(496f.); BGH NJW 1957, 713; OLG Köln MDR 2001, 589.28)OLG Koblenz NJW-RR 1997, 957; OLG Köln NJW-RR 1996, 1151; OLG Oldenburg NJW-RR 1995, 830; OLG Düsseldorf NJW-RR 1987, 1200(1201); OLG Frankfurt a. M. MDR 1984, 323.29)OLG Frankfurt a. M. NJW 1988, 79.30) OLG Saarbrücken NJW-RR 1999, 1290; OLG Saarbrücken NJW-RR 1998, 1531; OLG Hamburg NJW-RR 1989, 1022; OLG Karlsruhe NJW 1984, 985; OLG Celle NJW 1999, 1975.31)OLGZ Frankfurt OLG Saarbrücken. M. 1990, 75(判決補充の申立てを判決更正の申立てと解し,変更の理由がないとして申立てを却下した原決定に対し,Frankfurt上級ラント裁判所は,判決の補充を求める明確な申立てを誤って判決更正の申立てと解した原決定は法律上の基礎を欠く裁判であり,原審は申立ての拘束力に違反するのみならず,それを超えて判決補充の申立てについて口頭弁論に基づき裁判を受ける申立人の権利を侵害するものと判断した。上級ラント裁判所は,判決更正申立てを棄却する決定に対して即時抗告は許されないが,上記の理由により原審の決定に対しては通常抗告が許されると判示した).として攻撃できる」と判示した。このように,判例は,法律上不服申立てが禁止されている場合であっても一定の場合には,「特別の抗告(außeror-dentliche Beschwerde)」を許してきた。それ以後,2002年に民訴法の改正が行われるまで,法律上規律された抗告と並んで,「はっきりした法律違反」の場合についての連邦通常裁判所への「特別の抗告」による不服申立てが発展した。「はっきりした法律違反」は,「裁判があらゆる法律上の基礎を欠き,内容上,法律に知られていない場合」に肯定された。25)この点に,日本ではこれまで殆ど紹介されなかったドイツの抗告法の特徴があり,26)抗告法の中心的な論点の1つとなったということができる。 しかし,特別の抗告が許される範囲について,見解の対立が生じた。連邦通常裁判所と若干の上級ラント裁判所の見解によれば,「法的審問原則を含む本質的な手続規定の不顧慮は,それだけでは十分でない。27)他の上級ラント裁判所は,法的審問請求権の侵害の場合,28)法定裁判官を求める権利の侵害の場合,29)裁判所の恣意的な不活動(Untätigkeit)の場合30)に,そして他の手続瑕疵の場合にも,31)「特別の抗告(außerordentliche Beschwerde)」を許した。このような解釈の対立は,「はっきりした法律違反」の基準が法的不安定性をもたらすことを示している。「特別の抗告」を認めることに対して批判がなされ,その後,連邦通常裁判所も「特別の抗告」につい

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