Q1−2面談時の対応 支払延期の申出をしてきた相手方との面談において留意する事項はどのようなことか。5Q1−2 面談時の対応解 説1 早期面談の重要性 債務者から支払延期の申出があった場合,できるだけ早く面談し,状況を把握する必要がある。支払延期の理由が,当該取引上の個別の問題が原因であれば,その原因への対応のみを考えればよく,債権回収や保全の準備を行うまでには至らない場合が多いが,そのような個別の問題による支払延期ではなく,資金難を理由とする場合には,現在発生している債権の回収だけでなく,今後の取引についても大きな影響が生ずることになる。債務者の状況如何によっては,取引継続できる状況であるのか否かを判断することになる。 取引継続の判断指標としては,第一に資金繰りがどうなっているか,いつまできちんとした目途が立っているのかを把握することであり,資金繰り表を相手方が作成していれば,その提出を要請することで重要な情報を得ることができる。さらに営業の状況を把握するためには,直近の決算書や試算表の提出を受け,財務内容や営業収支の状況を確認することが有効である。 これらの情報からみて,相手方が資金的に持ち堪えることができず,倒産しそうな状況であれば,今後の取引関係については解消して,債権の保全と回収を第一に考えることになり,他方,相手方が資力等においてまだ十分な余裕があれば,債権保全を図りながら取引を継続することになる。取引を継続する場合においても,その取引条件も従前どおりとするのではなく,当方の権利や未回収の債権を保全するため,相手方が経営破綻するリスクを考えた内容に変更する交渉を行うことになる。いずれにおいても,早期に状況を把握し,対応を行うために早期に面談を行う必要がある。2 情報収集 面談における重要な目的の一つとして情報収集がある。収集対象の「情報」は様々であり,前記のとおり,①「現状把握のための情報」から,②保
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