債権回収
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第6章第1 不動産の仮差押え・差押えQ6−18 債権者は債務者に対して1,000万円の債権を有しており,債務者は,担保権が設定されていない評価額2億円の土地を所有している。この土地の全部を仮差押えした場合,担保の額が高額になる1)ため,債権者としては,この土地の一部(例えば,20分の1の面積相当分)のみを仮差押えしたいと考えている。そのような仮差押えは可能か。第4節民事保全・強制執行による債権回4第収(各論)─財産の類型ごとの整理2371)不動産仮差押えにおいては,仮差押えの目的物の価額を基準として担保額を決定する(目的物価額基準)のが一般的である(八木・関『民事保全の実務(下)』5~6頁)。 不動産の一部,例えば,一筆の土地の一部や区分登記又は分割登記がなされていない建物の一部を,独立して取引(売買等)の対象とすることや,不動産の一部を時効取得することは可能である。しかし,不動産の一部を対象として仮差押えをすることはできないとされている。 不動産仮差押えの執行は仮差押えの登記をする方法によって行われる(民保47条1項)ので,不動産の一部に対する仮差押えを可能とするためには,不動産を分筆(土地)または分割(建物)しなければならない。しかし,そのような行為は,不動産の一部について所有権等の物権を有する者であれば可能である(例えば,土地の一部を譲り受けた者は,その土地の一部について処分禁止の第 4 節 第 1  Q6−18 不動産の一部の仮差押え節解 説 不動産の一部の仮差押え

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