債権回収
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第2 金銭債権の仮差押え・差押えQ6−24預金債権の仮差押え・差押え─預金債権の特定 預金債権の仮差押え・差押えをする場合,金融機関の複数の支店の預金に順序を付して仮差押え・差押えの申立てをすることはできるか。250第6章 法的手続(訴訟・民事保全・強制執行)による債権回収解 説1 預金債権の特定方法─通常の金融機関の場合 預金債権の仮差押え・差押えの申立てに当たり預金債権を特定する必要があるが,債権者は預金債権の詳細を把握できないことが多いため,【図】(仮)差押債権目録(預金債権)(例)のように複数の種類の預金債権を列挙して,その間に序列を付ける方法が認められている。 また,第三債務者である金融機関を特定するのに加えて,預金債権がある支店(取扱店舗)を特定する必要がある。したがって,複数の支店にある預金債権の仮差押え・差押えをする場合には,各支店ごとに(仮)差押債権(預金債権)を特定する(各支店ごとに(仮)差押債権の額を記載し,その額の合計が請求債権と同額になるように割り付ける)必要がある(店舗割付方式)(預金口座が開設されている金融機関及び支店の調査方法については,Q2─7を参照)。 この点に関して,かつては,「全支店一括順位付け方式」,すなわち,各支店ごとの(仮)差押債権の割付けは不要であり,全支店を対象として支店番号の若い順序により支店に順位付けする方式が認められるかが議論されており,これを肯定した下級審判例もあった(東京高決平成23年1月12日金法1918号118頁,東京高決平成23年3月30日金法1922号92頁等)。しかし,最決平成23年9月20日民集65巻6号2710頁は,3つの銀行(メガバンク)に対する預金債権については支店(取扱店舗)を限定せず「複数の店舗に預金債権があるときは,支店番号の若い順序による」という順位付けをする方式により,ゆうちょ銀行に対する貯金債権については全国の貯金事務センターを全部列挙して「複数の貯金実務センターの貯金債権があるときは,別紙貯金事務センター一覧表の若い順序による」という順位付けをする方式により(これらの方式を併せて「全支

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