債権回収
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251店一括順位付け方式」という。)差押えの申立てがなされた事案について,差押債権の特定を欠き不適法であると判断した。 また,上記最決平成23年9月20日によって全支店一括順位付け方式が否定された後,今度は「預金額最大店舗指定方式」,すなわち,複数の店舗に預金があるときは,預金債権額合計の最も大きな店舗の預金債権を対象として,(仮)差押金額に満つるまで預金債権を差し押さえることを求める方式が認められるかが議論になった。しかし,最決平成25年1月17日判時2176号29頁は,「預金額最大店舗指定方式」についても差押債権の特定を欠き不適法であると判断した。2 インターネット専業銀行等の場合 上記最決23年9月20日は大規模な金融機関が第三債務者となった事案について判示したものであるが,インターネット専業銀行(実店舗を持たないで,主としてインターネットにより取引を行う銀行)の場合には,支店として本店所在地と同じ場所に登録されていても,それは物理的な取扱店舗ではなく,実際は本店が預金債権を一括管理しているものと考えられるので,東京地裁においては,支店の特定を不要とする取扱いである(『民事執行の実務 債権執行編(上)』120頁)。 また,名古屋高金沢支決平成30年6月20日判時2399号33頁は,実店舗は十数店舗を設けているが,預金債権の差押命令の送達を受けた場合,取扱店舗の特定の有無にかかわらず,全店検索及びその後の対処を同一部署で一括して実施している金融機関を第三債務者とする差押命令申立てについて,差し押さえるべき預金債権について「複数の店舗に預金があるときは,店舗番号の若い順による」とした上で,同一店舗扱いの預金債権については差押えの有無やその種別等による順位を付したとしても,差押債権の特定に欠けるところはないと判示した。第 4 節 第 2  Q6−24 預金債権の仮差押え・差押え─預金債権の特定

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