債権回収
5/56

i 債権を回収し損ねるとその全額が損失になってしまう。 コスト削減に努め,ぎりぎりの経営努力を積み重ねて売上げを達成し,その代金を回収しても,製造原価や諸経費を差し引いた利益は10%に満たないことが少なくない。ところが,苦労して売り上げた代金債権が回収不能に終わるとその全額が損失になってしまう。他の何倍もの売上げによる利益が吹き飛んでしまうのである。 売掛先の信用状態を把握し,危ないと感じたら他に先駆けて回収することは極めて大切で,そのための知識は製造ノウハウや販売の秘訣に比べて引けを取らない。損益に及ぼす影響は債権回収の知識の方が遥かに大きい。 本書は,回収の準備段階から始まり,情報収集の仕方,交渉による回収の秘訣,第三者から回収する方法などを紹介する。強制執行や仮差押えなどについては,執行の目的物ごとに留意点を解説している。執筆陣の得意分野である倒産手続の申立てによる回収や,海外における回収についても実務に即した紹介がされている。 「あの手この手」という書名はキワモノのような印象を与えるのではないかと心配だが,専門知識を持つ執筆者グループが日頃の経験と知恵を出し合って議論した結実が本書である。 『民事再生QA500』(信山社),『経営権争奪紛争の法律と実務Q&A』(日本加除出版),『債権法改正対応!保証契約の法律と実務Q&A』(同)の執筆陣が合宿とWEB会議を重ねた上で本書が出来上がった。 法律実務家や経営の現場で債権回収に苦労しておられる多くの方に本書が利用されることを願ってやまない。 令和2年(2020年)10月監修のことば弁護士 須 藤 英 章監修のことば

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る