遺言無効
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A 「いずれにしても,遺言無効訴訟の結果だけではXさんの相続の問題が全て解決するわけではないということです。では,どのような準備が必要になってくるでしょうか。」B 「遺言の無効を主張するわけですから,まずは,遺言書の内容の確認をする必要があります。遺言書の内容については,Zさんに遺言書を提供してもらうよう依頼することになります。遺言公正証書の場合は,公証人役場で検索してもらうこともできます。」A 「それから,遺言の有効性を検討することになります。Yさんの話では,Xさんは遺言を作成した当時認知症だったのではないか,つまり,遺言能力がなかったのではないか,ということでしたが,そもそも遺言の無効原因としてはどのようなものがあると考えられますか。」像をまず把握しましょう。いきなり遺言無効確認請求訴訟,ですかね。」B 「まずはZさんとの交渉ができるか,ということになるかと思います。」A 「Zさんは交渉に応じますかね。」B 「Yさんがおっしゃるように,Zさんが遺言の作成に積極的に関わっていたのだとしたら,交渉は難しそうですね。ただ,遺言が有効だとしても,Yさんには遺留分がありますから,YさんからZさんには遺留分侵害額請求をすることができます。Yさんの遺留分は4分の1ですから,そのあたりの話であれば,Zさんとしても話に乗ってくる可能性はありそうですね。」A 「しかし,Yさんとしては,遺産の半分を,という思いはあるでしょうから,お互いが譲歩しない限り話合いでの解決は難しそうですね。」B 「だとすると,やはり遺言無効確認請求訴訟の提起を視野に入れなければならないと思います。」A 「そうですね。では,遺言無効確認請求訴訟を提起したとして,その後の手続はどうなるでしょう。」B 「勝訴したのであれば,遺言の無効が確認されますから,共同相続人間で遺産分割をしなければなりません。敗訴したのであれば,遺言は有効ということになりますから,Yさんとしては遺留分侵害額請求をすることになりますね。」第1章 最初の相談13

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