第1 遺言の種類遺言は,普通方式による遺言と特別方式による遺言に大別されます。普通方式による遺言が本来の方式であり,さらに自筆証書遺言,公正証書遺言及び秘密証書遺言に分類されます。特別方式による遺言は死が差し迫っている等,例外的な場合に認められ,死亡危急者遺言,船舶遭難者遺言,伝染病隔離者遺言,在船者遺言に分類されます。ここでは,普通方式による遺言について,簡単に説明します。遺言者がその全文,日付及び氏名を自書し,これに押印をした遺言を自筆証書遺言といいます(民法968条)。自筆証書遺言においては,遺言の方式にルールがあり,当該ルールに違反すると遺言が無効となってしまいます。この点,今般の相続法改正によって,自筆証書遺言の方式が緩和されました。旧法のもとでは,自筆証書遺言は常にその全文を自書しなければならないものとされていましたが,厳格な方式が遺言者の負担となり,自筆証書遺言の利用が阻害されていると指摘されていました。そこで,自筆証書遺言を使いやすいものにするために,自筆証書に遺産や遺贈の対象となる財産目録を添付する場合には,その目録については自書を要しないことにして,自筆証書遺言の方式を緩和することにしました。ただし,遺言書の偽造や変造を防止する必要があるため,自筆証書に自書によらない財産目録を添付する場合には,その目録の「毎葉」に署名及び捺第1 遺言の種類311 遺言の種類2 自筆証書遺言解 説
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