遺言無効
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頁)。(民法1004条)。遺言者が,遺言書を作成して署名押印の上,封印し,封書を公証人及び証人2人以上の前に提出し,自己の遺言書の旨及び氏名住所を述べ,公証人が日付及び遺言者の口授を封書に記載し,遺言者及び証人とともに署名押印する方式の遺言を秘密証書遺言といいます(民法970条)。この場合は,遺言者本人がパソコンで打ち込んでプリントアウトしたものでも有効となることがあります。秘密証書遺言に関しては,家庭裁判所の検認手続が必要とされています第2 遺言の効力遺言は,遺言者の死亡の時から効力を生じます(民法985条1項)。ただし,遺言に停止条件が付され,その条件が遺言者の死亡後に成就した場合には,条件が成就した時から効力を生じます(同条2項)。遺言は,遺言者の死亡により初めて効力を生じるものであり,遺言者はいつでも遺言を撤回できますので(民法1022条),遺言者の死亡までは何らの法律効果も発生しないことになります。したがって,推定相続人や受遺者とされた者は,将来的に遺言が効力を生じたときに遺贈の目的物である権利を取得できる事実上の期待を有する地位にあるにすぎないため,遺言者の生存中に推定相続人等が当該遺言の無効確認の訴えを提起することは許されないとされています(最判昭和31年10月4日民集10巻10号1229頁)。遺言がどのような効力を生じるかは,遺言書に示された遺言者の意思解釈によって決まります。一般的には,遺言書の記載内容によって決まりますが,遺言書の記載を見ても一義的に遺言者の意思を図りかねる場合があります。第2 遺言の効力334 秘密証書遺言1 遺言の効力の発生時期2 遺言の解釈

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