遺言無効
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【1】東京地判平成26年1月30日(前項148頁参照)*遺言日時の遺言者年齢は,判決引用若しくは誕生年から推計。*当事者につき遺言者はA,原告はX,被告はYとして表示している。3 参考裁判例*審理期間は,事件番号から推認される受付月と判決日から推認(複数事件は最長期間)。事件番号審理期間判決の結果遺言の種類遺言者A遺言日時東京地裁平成23年(ワ)36171号2年2か月無効自筆証書大正9年生,男性,死亡日平成23年5月29日平成18年6月18日(遺言者A 86歳)(別に,平成20年8月26日付の新遺言が存在)X1=Aと前妻の子,X2=Aと後妻の子,Y=Aと後妻の子当事者遺言内容の概要全てYに相続させる事案の背景・エピソードAは昭和17年前妻との間にX1をもうけた。Aは後妻との間に昭和22年X2を,昭和25年にYをもうけた。X1は昭和26年後妻と養子縁組。後妻は,平成7年に死亡した。Aは平成17年頃X1に300万円贈与。Aは平成17年10月Yに1,000万円贈与する旨の書面作成。平成18年6月15日脳神経外科医師診断書に,「1年前より記銘力低下,健忘症強く,認知症始る。意識明瞭会話成立するも,日常生活財産管理等の認知能力に著しい低下」の記載あり。HDS-R21点。Yは平成18年7月11日A名義のP銀行通帳再発行手続をして,18日A名義貯金580万6408円解約・通常貯金から200万円払戻。平成18年Yが保佐開始申立。同年11月20日付家裁調査官報告書に「診断書上老人性認知症により保佐程度とあるが,かなり認知症進行。正式鑑定結果に従い保佐又は後見開始が相当」と記載。鑑定(注:「医師所見鑑定」参照)を経て平成19年2月8日保佐審判。保佐人に司法書士選任。AはX2申出にて平成20年8月26日新遺言書作成。YはAを被告として平成21年4月27日横浜地裁に1,000万円贈与の履行請求訴訟提起。平成22年7月12日贈与有効の地裁判決。平成23年1月19日控訴棄却。平成21年7月31日後見開始申立。同審判書では,「現在認知症で自己の財産を管理・処分できない常況」弁護士が後見人に選任。Aは,平成23年5月29日死亡。平成23年7月29日本件遺言書検認。平成23年10月3日新遺言書検認。156

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