遺言無効
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病名症状頭部画像所見認知症―頭部CT検査(平成18年12月5日,S病院)の結果,頭頂葉,側頭葉に強い萎縮を認める。平成18年6月15日付け診断書には「意識明瞭,会話も成立するが,日常生活,財産管理等の認知能力に著しい低下を認める。」と記載。平成18年12月18日家裁嘱託精神神経科医鑑定。アルツハイマー型痴呆を認め,知的に著しい障害。自己の財産を管理・処分するには常に援助が必要。回復の可能性はきわめて低い。頭部CT検査(平成18年12月5日)で頭頂葉側頭葉に強い萎縮。意識は清明で簡単な質問内容は一応理解。短期記憶・中期記憶・長期記憶・想起に問題。日付・現在居住場所は答えられず失見当識。複雑な質問内容理解は困難。物事を正しく理解し判断する能力欠く。HDS-R4点(30点中)(平成18年12月5日)。平成17年2月頃より物盗られ妄想,注意集中障害,記銘力障害,計算等の知的能力障害。現在重度のアルツハイマー型認知症。表面的な会話は成立するが,時や場所,人の見当識障害。認知機能は著しく低下。社会生活上状況に即した適切な判断をする能力は低下。自己の財産を管理・処分するには常に援助が必要。今後の回復の可能性は極めて低い。医師所見鑑定認知症スケール平成17年6月3日付HDS-Rの結果は22点。平成18年5月27日付HDS-Rは16点。平成18年6月15日脳神経外科診断書でHDS-Rは21点。平成18年12月5日HDS-R4点(30点中)。証拠によれば同年9月7日頃の時点で11点。―遺言書作成状況(公証人対応等)争点と判断枠組み(遺言能力)遺言能力の有無は,遺言の内容・遺言者の年齢・病状を含む心身の状況及び健康状態とその推移・アルツハイマー型認知症の発症時と遺言時との時間的関係・遺言時と前後の遺言者の言動及び精神状態・遺言者の日頃の遺言についての意向・遺言者と相続人の関係等遺言者の状況を総合的にみて,遺言の時点で遺言の内容を判断する能力があったか否かによって判断されると解すべき。本件遺言の内容は,財産をすべてYに相続させるという単純な内容。理解は容易。遺言当時Aは86歳と高齢で,平成17年5月には認知症を発症。遺言作成は発症から約1年経過時点で,HDS-Rについて平成17年6月3日で22点,平成18年5月27日で16点,平成18年6月15日で21点,平成18年12月5日で4点。また,証拠上平成18年9月7日時点で11点。平成18年6月15日付け診断書には「意識明瞭,会話も成立するが,日常生活,財産管理等の認知能力に著しい低下を認める。」と記載。平成18年12月18日鑑定書に,「現在居住している場所は答えられず失見当識を認める。」「現在重度のアルツハイマー型認知症に罹患。表157

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