の方法までを,ときには弁護士同士の打ち合わせをシミュレーションし,あるいは豊富な経験に基づくコラムを用いて,丁寧に教えてくれています。また,遺言能力の概念については,民法に明確な定義がないうえ裁判例でも微妙にニュアンスが異なりますので,類似の裁判例にあたって判断要素を抽出し,自分で判断しなければなりません。この点についても,本書は遺言無効確認の訴に関する最新の裁判例を網羅していますので,きっと,その作業を効率化してくれることでしょう。最後に,本書を読むうち,知らず知らずのうちに遺言無効のみならず高齢者の生活や心情を理解でき,相談案件全般についても造詣が深くなるという印象を持ちました。本書を手に取られたみなさまが,相続分野に関する深い知見を体得されることを願って,本書を推薦させていただきます。2020年11月ii弁護士 藤井 薫
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