8_別段
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1本書は,民事信託を設定するための信託契約第1本書の検討範囲1 用語の定義・意義⑴民事信託「民事信託」とは,商事信託の対語であるが,本書では,非営業信託とほ4ぼ4同義とする。一般的には,営業信託は,信託業法の適用を受けるもの,非営業信託は,信託業法の適用を受けないものを指す。本書も,基本的にはこの定義に従うこととするが,より厳密にするならば,「信託会社又は信託銀行等の信託の引受けについて法律上のライセンスを取得した者(プロ受託者)“でない者”(アマ受託者)が引き受ける信託」1 信託契約書起案実務の全般的な留意点については,拙稿「民事信託契約書作成の留意点」東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編『弁護士専門研修講座 民事信託の基礎と実務』(ぎょうせい,2019年)249頁を参照。2 節税を目的とした民事信託の受託者を会計事務所のスタッフ等が行う例があると聞くが,何らかの対価を受領しているとすると,信託業法違反が疑われるように思われる。う。ここで,いくつか用語の定義や意義を確認することとしたい。を「民事信託」と呼ぶこととする。信託業法の適用の有無を基準とすると,信託の引受けの営業(信託業法2条1項)であるか否かがそのメルクマールとなり,(それ自体違法であるものの)ライセンスのない者が営業として受2託者となる場合も信託業法の適用を受けるとして(同法2条1項違反・91条1号),「民事信託」ではないことになってしまうからである。受託者が個人であるか法人であるかは問わない。なお,「商事信託」は,上述のプロ受託者が引き受ける信託という意味で用いる。本書は,信託契約の一部を構成する別段の定めについて述べるものである。信託契約を起案する際に,受託者の属性,特に受託者が信託についての知識・経験を有する(と期待される)者であるかが決定的に重要であると考えている。における別段の定めを取り扱第1 本書の検討範囲3

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