6それでもなお民事信託が活用できる場面は無数にあるであろう。。。5⑸民事信託設定業務⑹信託行為の当事者,信託の当事者,信託関係人2 本書が想定する民事信託の例3 民事信託預金口座については,拙稿「民事信託預金口座の実務上の法的課題―信託財産の独立性保全機能とマネロン・テロ資金供与リスク対策を中心に―〜『民事信託』実務の諸問題⑵〜」駿河台法学33巻1号15頁を参照。4 「民事信託支援業務」と呼ばれることもあるが,これは司法書士の伝統的業務である「本人訴訟支援業務」の名称に由来するものとされる(渋谷陽一郎「民事信託支援業務の生成と展開に関する一考察」澁谷彰久ほか編著『成年後見・民事信託の実践と利用促進』(日本加除出版,2021年)328頁)。主体は訴訟当事者ないし民事信託の当事者であり,その者を支援するという点は類似するにしても,訴訟の場合の「本人」は原告又は被告のいずれか一方のはずであるから(双方を支援することはあり得ない。),民事信託の場合も委託者又は受託者のいずれかを支援するのであろう。仮にそうではなくて,民事信託では双方を支援するとするならば,「民事信託支援業務」は「本人訴訟支援業務」とは根底の部分で全く異なるものになるであろう。5 新井201の分類・呼称に依拠した。る取扱いをする預金口座を「民事信託預金口座」と呼ぶこととする。一般的には,「信託口口座」と呼ばれることが多いが,論者や金融機関によりその外延が明らかでないため,本書では,上記の内容を含む預金口座を3「民事信託預金口座」と呼ぶこととする民事信託の利用を希望する者に対し,民事信託を設定するための契約書案の作成,その前提となるヒアリングや調査,信託契約書を公正証書とするための手続支援,民事信託預金口座の開設を受けるために必要な金融機関での手続支援及び信託の登記等対象財産が信託財産に属する財産であることを主張するのに必要な手続代理等を提供する業務を「民事信託設定業務」と呼ぶ4こととする信託契約の当事者となる委託者及び受託者を「信託契約の当事者」,これに受益者を加えた3者を「信託の当事者」,さらに,信託管理人・信託監督人・受益者代理人を加え,信託関係に対して直接的な利害関係に立つ者,及び信託関係に基づいて権利・義務を取得する者の総称を「信託関係人」とそ5れぞれ呼ぶこととする民事信託を前述のように定義して,対象とする信託を限定したとしても,。そこで,読第1 本書の検討範囲
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