8_別段
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て7② 特徴⑵ 財産承継をするための信託① 事例財産所有者がその所有権に内包される管理権を自身で行使することが困難になることが想定されるがゆえに,その困難を克服するためにその財産の権利及び名義(完全権)を委ねるための方法として,信託を利用し子等を受託者とする。財産所有者は,自分でやりきれなくなる事務を委ねるために信託を利用しているから,受益者は財産所有者自身になる。つまり,委託者と受益者は同一人となる(自益信託)。同一人(事例のS1)が委託者でもあり受益者でもあることから,それぞれの立場について信託法が認める権利について整序する必要がある。また,個人であるがゆえに権利行使や意思決定が単独でできなくなる事態が生じることは容易に想定されるから,そのような事態に至った場合に権利行使や意思決定をどのように行うかについても定める必要が生じる。また,信託目的設定者で信託財産拠出者かつ信託の利益を受ける者(単独の当初委託者かつ単独受益者)がいったん設定した信託を途中でやめたいと考えるに至った場合の取扱いについても重要な問題となる。◦「委託者」と「受益者」の役割分担◦「委託者」「受益者」としての権利行使,意思決定ができない場合の手当◦委託者兼受益者の信託の終了の自由を制約するかどうかS2(70歳・女性)は,夫A2(71歳),長男T2(45歳)及び二男B2(43S1T1S1A1第1 本書の検討範囲T1信託契約委託者受益者受託者信託財産

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