⑶ 多数権利者の権利関係を簡略化・合理化するための信託⑶-1 複数地権者による開発① 事例② 特徴S3らは,X駅前の土地をそれぞれ所有し,合計した面積は約3,000m2である。S3らはこの土地上に集合住宅と商業施設を兼ねる大型施設を建築することを検討しているものの,S3らの中には,高齢である者,遠方に住んでいる者,土地の開発に興味が薄い者など様々な者がおり,その意見を集約するのが困難な状況にある。そこで,S3らを委託者兼受益者,専用に設立した一般社団法人T3を受託者,S3らがそれぞれ所有する土地を信託財産とする信託契約を締結した。各財産は単独所有であっても,それらを合同して運用・活用する場合には,各財産の所有者全員の一致が必要になる。この場合に懸念されるのは,所有者のうち一人でも意思決定することができない状態になってしまうとその時点で計画の遂行が頓挫してしまうことや,一人に共同相続が開始するなどして関係者が増えてしまうとさらに意見の集約が困難になってしまうことである。このような事態が生じるのを回避するために,単一の主体に所有権を集約して対外的な権利関係を簡略化するのと同時に,対内的な意思決定方法を合理化する必要がある。◦複数受益者における意思決定をどのように行うか◦各所有者が信託についてどのような権利を有し意思決定に関与するようにするかS3らS3ら委託者委託者委託者T3法人委託者第1 本書の検討範囲受益者T3法人信託契約受益者受益者受益者9受託者信託財産
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