第1章 受託者等(信託法第3章)信託法29条2項ただし書は,「その定めるところによる注意をもって」とするため,注意義務そのものを免除することはできない。受託者が注意義務を負うことを前提として,◦受託者の信託事務処理における注意義務の程度の加重・軽減についての別段の定めをすることができる。もっとも,軽減することができるのが,注意義務であるのか善管注意義務であるのか(軽減の下限はどこまでか)については見解の対立がある。第1 29条2項ただし書39第129条2項ただし書(受託者の注意義務の程度)条文(受託者の注意義務)第29条(中略)2 受託者は,信託事務を処理するに当たっては,善良な管理者の注意をもって,これをしなければならない。ただし,信託行為に別段の定めがあるときは,その定めるところによる注意をもって,これをするものとする。1 別段の定めをすることができる事項2 趣旨「受託者の注意義務の基準については,私的自治を尊重する観点から,信託行為の定めにより加重・軽減することができるとすることが相当であり,旧法の下でも,受託者の善管注意義務は任意規定であるとの解釈が一般的である。」(寺本112)とされる一方で,「(中略)任意規定であるとはいっても,信託が委託者および受益者の受託者に対する信認義務を基礎とする財産管理制度であることに鑑みると,信託行為の定めをもってしても,受託者の善管
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