8_別段
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条項例13 別段の定めの具体例⑴受託者の注意義務の程度の加重① 定めを設ける必要が想定される状況② 定めを設けるメリット③ 定めを設けるデメリット注意義務を完全に免除することは,信託の本質に反し許されないものというべきである」(寺本113(注3))とされる。複数の種類の財産を信託財産とする信託を引き受けた受託者がそのうち特定の種類の財産についてはその管理経験を有しているため,その種類の財産についてはその経験を生かした管理を委ねたい場合が考えられる。例えば,不動産業者に勤務又は経営するなどして不動産の管理に長けている者が信託を引き受けた場合に,不動産の管理については不動産業者と同程度の高度な注意義務を求める一方で,有価証券については特段の投資経験がないため,通常の善管注意義務を課すという場合である。受託者が特定の財産の管理についての知識及び経験を有している場合に,それに見合った注意義務を課すことで,信託財産はより慎重に管理されることになり,受益者の保護に資することになる。受託者にとっては義務違反が問われやすくなるので,それだけ不利益を被るおそれが増すことになる。第1章 受託者等受益者40注意義務不動産のみ不動産取引の十分な経験あり受託者受託者は,信託財産に属する不動産の管理又は処分については,不動産業者と同程度の善良なる管理者の注意義務を負う。

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