条項例43 別段の定めの具体例⑴受益者への通知を要する利益相反行為の範囲(一部免除)① 定めを設ける必要が想定される状況② 定めを設けるメリット③ 定めを設けるデメリットし行われる利益相反行為(例えば,信託財産に属する金銭の送金に要する必要経費の徴収等)について,そのたびごとに通知をしなければならないとするのでは,信託事務の円滑な処理を害し,受益者の不利益になりかねないこと,③委託者による監督を強化しているタイプの信託においては,受益者への通知が不要であると考えられる場合があり得ること等に鑑み」,通知義務が任意規定であることを明らかにしたとされる(寺本121以下)。その信託が存続する限り継続すると見込まれる利益相反行為についての受益者に対する通知を省きたい場合が想定される。受託者の通知に関する事務負担をなくすことができる。特段のデメリットは想定されないが,本条項例によると,信託期間中に新たに信託財産に属する土地上に受託者が固有財産に属する建物を建築する場合であっても,通知が不要であると読むこともできるため,通知義務を免除する利益相反行為の範囲については慎重に定める必要がある。例えば,信託契約締結当時,既に委託者(兼受益者)となるべき父が所有する土地の一部に受託者となるべき子が居住用建物を所有している場合にお受益者固有財産信託財産通知第2 31条3項ただし書 利益相反受託者45受託者が信託財産に属する土地上にその固有財産に属する建物を所有することについては,信託法第31条第3項が定める通知を免除する。
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