16) 改正民法は法定利率について変動制を採用しており、当初は3パーセントで、利率は3年ごとに見直される(改正民法404条)。同条の適用時期については、前記第1章、第4、3の②参照。17) 改正民法419条1項は、金銭債務の遅延損害金について、その適用利率の基準時を「遅滞の責任を負った最初の時点」としている。同条の適用時期については、前記第1章、第4、3の⑤参照。施行日(令和2年4月1日)以降に納期限が到来する使用料に不払いが生じれば、当初は年3パーセント(改正民法419条、同404条2項)、以後3年ごとに変動する(同404条3項)。18) ちなみに、使用損害金を不法行為に基づく損害賠償金として構成する場合、不法行為に基づく損害賠償債務については、判例は、請求を受けたときではなく、不法行為のときから遅滞の責めに任ずべきものであり、債務発生の時以降法定利率による遅延損害金を支払う義務があるとしており(大判明43.10.20民録16輯719頁、大判大3.6.24民録20輯493頁、最判昭37.9.4民集16巻9号1834頁)、判例によれば、不法行為が終了したとき、即ち、明渡しが完了した日の翌日から遅延損害金が発生することになると思われる。る(改正前民法419条1項本文16))。但し、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による(同条同項但書)。 X市条例、X市規則には、遅延損害金に関する規定はない。したがって、遅延損害金についての約定はないことになる。そうすると、改正前民法419条1項本文により遅延損害金の利率は年5パーセントということになる17)。 遅延損害金の起算日は納期限の翌日であり、納期限については、前記1の⑵を参照されたい。⑵ 使用損害金に対する遅延損害金 使用損害金は、賃貸借契約解除後も入居者が居座っている限り、日々発生するものであるが、明渡しが完了すると使用損害金の額は確定する。この確定した使用損害金について遅延損害金は発生するのだろうか。 使用損害金は、賃借人が負う目的物返還義務の債務不履行に基づく損害賠償請求権である。債務不履行に基づく損害賠償債務は期限の定めのない債務であり、民法412条3項により履行の請求を受けた時に遅滞に陥ると解される(最判昭55.12.18民集34巻7号888頁)。それ故、使用損害金についても遅延損害金は発生する。その起算日は債務者が請求を受けた日の翌日である18)。 第2章 滞納使用料等の金銭の支払を求める訴訟64
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