6722) 改正前民法601条は賃借人の目的物返還義務を明示的に規定していないが、改正民法601条は、賃料支払義務と並ぶ賃借人の基本的な義務として、賃貸借終了によって賃借人の目的物返還義務が生じること明記している。23) 司法研修所『要件事実(1)』275頁。24) 条件や期限は、一般に法律行為の附款と呼ばれる。負担付贈与契約における負担の合意(民法553条)も法律行為の附款とされる。25) この説を「抗弁説」という。抗弁説は、附款をその対象となった法律行為の成立要件とは区別される可分なものと理解し、当該法律行為によって発生すべき法律効果についての特別な約定、即ち、特約の一類型とみる。売買契約における附款については抗弁説が通説である(司法研修所『要件事実(1)』48頁参照)。とを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって成立する(改正前民法601条)22)。その要件事実は以下のとおりである。⑴ 使用料 賃料支払義務は賃貸借契約の本質的義務である。したがって、賃料についての合意があった旨の記載が不可欠である(上記③のⅰ)。 X市の市営住宅の場合、賃料、即ち、使用料は、X市条例12条に定めるところにより決定される。 記載例:金5万円 ただし、X市営条例12条に定めるところにより算定した金額⑵ 共益費 共益費支払義務は、賃貸借契約の本質的義務ではないが、その合意があることにより共益費支払義務の存在が賃貸借契約の一内容となる。共益費を請求するには、共益費についての合意内容(X市条例16条、17条)を記載する必要がある(上記③のⅱ)。⑶ 賃貸期間 賃貸期間(返還時期)の合意をどのように位置づけるかについては、2つの見解がある23)。 一つは、売買契約における期限の合意と同様、契約の要素ではなく、法律行為の附款24)であって、その合意があることによって利益を受ける当事者がその都度主張立証すれば足りるとする説25)である。 他の説は、消費貸借、使用貸借、賃貸借等の貸借型の契約を、売買、交換等の売買型と区別して理解し、これらの貸借型の契約は、一定の価値を、ある期間借主に利用させることに特色があり、返還時期の合意は単なる法律行為 第1 使用者に対する滞納使用料等請求訴訟
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