自原住
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28) 前掲(注22)参照。1 訴訟物 訴訟物は、目的物返還義務の債務不履行(履行遅滞)に基づく損害賠償請求権(改正前民法415条)である。賃貸借契約における目的物返還義務は、賃借人の基本的な債務の一つであり、賃貸借契約の一内容である28)。使用料(賃料)支払義務も目的物返還義務も共に1個の賃貸借契約から生ずることからすると、両者は同一の訴訟物であると解することもできるが、使用損害金は目的物返還義務そのものではなく、その不履行による損害賠償請求権なので、訴訟物はそれぞれ別個であると解される。 訴訟物の特定は、目的物返還義務を特定するのに必要な事項、具体的には、契約当事者、契約の目的物、契約締結日、契約の内容(使用料の定め等)等の賃貸借契約を特定する事項のほか、使用損害金の発生日、発生期間等を記載することにより行う。2 建物明渡請求権の発生 設例1では、Yが明渡しを完了しているので、明渡請求は問題にならないが、使用損害金は、目的物返還義務、即ち、建物明渡義務の不履行(履行遅滞)に基づく損害賠償請求権であるから、使用損害金支払請求権は、建物明渡請求権の存在が前提となる。それ故使用損害金を請求するには、建物 ⑩ ③の賃貸借契約締結時に、X市条例39条1項2号による明渡しの場合の使用損害金の額について同条4項に定めるところによる旨合意したこと 第2章 滞納使用料等の金銭の支払を求める訴訟70  使用料滞納催告解除賃貸借終了建物明渡請求権建物明渡し使用損害金

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