自原住
48/70

32) 公住法32条1項は、明渡請求できる場合の一つとして「入居者が家賃を3月以上滞納したとき。」と定めており、催告を要せず解除できるかのように読めるが、この点については、後記第3章、第1、2「解説」の2を参照されたい。33) 最判昭29.12.21民集8巻12号2211頁。34) 最判昭31.12.6民集10巻12号1527頁。35) 司法研修所『類型別要件事実』12頁。⑶ 使用料等支払請求権の存在 設例1における建物明渡請求権は、使用料等の滞納を理由とする賃貸借契約の解除によって賃貸借契約が終了したことの法律効果として発生するものであるから、有効な契約解除権の行使があったことがその前提となる。そして、当該解除権発生の前提として使用料等の滞納があったこと、その前提として使用料等支払請求権が存することを主張立証する必要がある。使用料等支払請求権については、前記1において説明したところであり、上記①ないし⑥がその要件事実である。 なお、前述したとおり、使用料等の支払時期が到来したこと(上記⑥)の主張立証は必要であるが、賃借人が使用料等の支払いをしていないことまで主張立証する必要はない。⑷ 催 告 催告が解除権発生の要件になっている(改正前民法541条)32)。同条は「相当の期間を定めてその履行の催告をし」と規定しており、催告に相当の期間を定めることが要件事実であるかのようにも読めるが、催告に期間を定めなかった場合でも、催告から相当の期間を経過すれば解除することができるし33)、催告から相当の期間を経過した後にした解除の意思表示は、催告期間が相当であったかどうかにかかわりなく有効であるから34)、催告に相当な期間を定めたことは要件事実ではない35)。もっとも、催告期間を定めたということは要件事実ではないというに留まり、請求原因として記載してはならないということではない。実務上は、期間を定めて催告したときは、その催告期間を請求原因に記載するというのが一般である。 催告には、特定された期間の賃料の支払いを請求するものでなければならないが(例えば、「平成23年7月分から同24年1月分までの賃料」などのように特定する。)、公住法32条1項2号、X市条例39条1項2号は、滞納を理由72   第2章 滞納使用料等の金銭の支払を求める訴訟

元のページ  ../index.html#48

このブックを見る