7336) この点については、後記第3章、第1、2「解説」の2を参照されたい。37) 住宅使用料の管理・回収の手続きについて要綱を定めている自治体も少なくないようであるが、いきなり条件付使用許可取消通知ではなく、先ず使用許可を取り消す旨の予告通知を送付し、その後に使用許可取消通知又は条件付使用許可取消通知を送付する旨要綱等に定めている例もある。その場合には、当該要綱に定める手順によることになる。とする明渡請求については「入居者が家賃を3月以上滞納したとき」と規定しているので、3か月分以上の賃料の支払いを催告したことが必要であると解する(上記⑦)36)。⑸ 使用許可取消と契約解除 本書においては、使用許可は入居者資格を認定し、賃貸借契約を締結する資格を付与する行政処分であると同時に賃貸借契約の申込みに対する承諾であると解している。そして、行政処分としての使用許可は賃貸借契約締結と同時に法的意義を失い、賃貸借契約が締結された後になされた使用許可の取消しは、単なる賃貸借契約解除の意思表示と同義となり、賃貸借契約を消滅させるためには、行政処分としての使用許可を取り消す必要はなく、単に賃貸借契約を解除する旨の意思表示がなされればよいと解している(前記第1章、第2、2の⑷参照)。⑹ 条件付使用許可取消(条件付契約解除) 民法上、「催告」と「(相当の期間が経過しても滞納賃料の支払いのないことを条件とする)解除の意思表示」は同時に行うことができる(大判大6.6.27民禄23輯1153頁)。これを条件付契約解除という。 公営住宅の明渡請求においても、別異に解する理由は見当たらず、「催告・督促」と「(相当の期間が経過しても滞納家賃の支払いのないことを条件とする)解除の意思表示(使用許可取消決定の通知)」を同時にすることは可能であると解される37)。 条件付使用許可取消、即ち、条件付契約解除というのは、催告期間内に支払いのないことを停止条件とする解除の意思表示であると一般に理解されている。そうすると、賃貸人が契約解除の効果の発生を主張するには、条件が成就したこと、即ち、「賃借人が催告期間内に支払わなかったこと」を主張立証しなければならないはずである。しかし、この場合に限って賃貸人に賃料債務の「不履行」について主張立証責任を負わせようとするのは、賃借人 第1 使用者に対する滞納使用料等請求訴訟
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