自原住
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③ 判例地方自治の勉強会 月刊誌「判例地方自治」(ぎょうせい)に掲載されている判例を題材として、毎月1回、勉強会を開催している。自治体職員の方々もメンバーとして参加しており、本年6月の勉強会は第153回目になる。④ 出版事業 私が当研究部部長在任中の平成23年1月から『自治体が原告』の出版に向けて、公営住宅班、福祉教育債権班、貸付金班(貸付金だけでなく、補助金の返還金、取立訴訟等の問題を扱い、また、民法改正についても解説している。)、調達行政班(出版に当たり「財産管理・契約班」と名称を変更。)が、各班でテーマを持ち、原稿の執筆、検討会の開催等の活動を行い、書籍の出版に向けて取り組んできた。 当研究部が『自治体が原告』の出版を企画したのは、次のような理由からである。 地方自治法上、普通地方公共団体の長は、債権(強制徴収公債権を除く。)について、督促をした後相当の期間を経過してもなお履行されないときは、訴訟提起等の法的措置を採らなければならないとされており(地方自治法施行令171条の2)、最判平16.4.23及び最判平21.4.28は「地方公共団体が有する債権の管理について定める地方自治法240条、地方自治法施行令171条から171条の7までの規定によれば、客観的に存在する債権を理由もなく放置したり免除したりすることは許されず、原則として、地方公共団体の長にその行使又は不行使についての裁量はない。」と判示している。にもかかわらず、不払いを続ける滞納者に対して訴訟提起等の法的手続を採っている自治体は数少ない。その理由はいろいろあると思われるが、その一つとして、「これまで訴訟を提起したことがないから」というのがある。訴訟を提起するには、実体法、手続法に関する様々な法的知識が必要である。そうした法的知識が不十分であるため訴訟的に対して消極的になる。訴訟を提起した経験がないため自治体内に訴訟に関するノウハウの蓄積がない。そのため、ますます訴訟提起に対して消極的になる。 『自治体が原告』は、自治体におけるそうした悪循環を断ち切り、自治体が法令に則った債権管理を行うことを支援するために出版を企画したものである。ii 発刊によせて

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