v 本書は、公営住宅案件について訴訟を提起・遂行するために必要な知識をこの1冊にまとめたものであり、全5章で構成されている。 本書の中心をなすのは第2章と第3章である。第2章は滞納使用料等の金銭請求訴訟を、第3章は建物明渡請求訴訟を扱っている。第2章、第3章では、「設例」を設け、設例ごとに一つの単元としている。設例に続く「解説」では、当該設例に係る訴状ではどのような請求をすべきかについて簡潔に述べた後、請求ごとに訴状を作成するうえで重要と思われる事項について詳しく説明している。そのうえで、「訴状作成の要点」において、「請求の趣旨」では訴状の請求の趣旨に係る記載要領を示し、「請求の原因」では請求ごとに訴訟物や要件事実の具体的な内容を記述し、これに解説を加えている。各設例ごとに掲載している「訴状案」は、以上を踏まえて作成すると、こうした記載になるということを示しており、自治体職員の方々が訴状案をベースに起案すれば、要件事実を網羅した実用に耐え得る訴状が出来上がると考える。訴状案に続く「Q&A」では、当該設例に関連するものの、「解説」、「訴状作成の要点」では取り上げなかった事項について解説している。 平成23年に東京弁護士会自治体等法務研究部に「公営住宅班」が設けられ、巻末記載の執筆者がこれに参加した。先ず、中村英示弁護士(同研究部の令和3年度の部長)、道本周作弁護士(同研究部同年度の事務局長)が中心となって本書の骨格をなす目次を作成し、その目次をもとに原稿作成をメンバーに割り振った。そして、出来上がった原稿について逐次検討会で議論を重ね(目次は検討会を重ねる過程で数回にわたって改訂された。)、一通りの検討を終えた後、中村弁護士、道本弁護士、新たに加わった澤村暁弁護士の3人で原稿の見直し作業を行った。その後、私が原稿を引き取り、第1章(本書全体に係わる内容なので、他の章の原稿が出来上がってから執筆することになっていた。また、内容が専門的過ぎる嫌いがあり、法律家以外の方には理解しにくい部分もあることから、当初は最終章に置く予定であった。)を執筆するとともに、原稿全体の体裁を整え、これに併せて原稿を手直しする作業を行うこととなった。その作業は遅々として進まなかったが、そうし はしがき は し が き
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